管理人の読書感想 【生き方―人間として一番大切なこと】

 

生き方―人間として一番大切なこと』稲盛和夫 (著)


本を読むきっかけは、電車の車内広告

この本を読むきっかけは、電車の車内広告をたまたま見て、「原因と結果の法則」と並んで宣伝されており、50万部以上のベストセラーになっているのを知ったことからでした。

どうして会社を大きく発展させることができたのか?

稲盛和夫さんは、二つの世界的大企業、京セラとKDDIを設立された方で、 京セラ設立当時、経営の素人だった稲盛さんが、どうして、今日知られるほどに、会社を大きく発展させることができたのか。それは、人間として正しいことを追求する指針によるものだと解説されています。

人間として正しいか正しくないか、よいことか悪いことか、やっていいことかいけないことか。人間を律する道徳や倫理を、そのまま経営の指針や判断基準にされてきたそうです。

私心なき動機、純粋な志を共有

DDIが新規参入組のなかで、つねにトップの業績を上げつづけることができた理由として、国民のために役に立ちたいという私心なき動機がもたらし、従業員全員が自分たちの利益ではなく、国民のために役立つ仕事をするという純粋な志を共有するようになり、心からこの事業の成功を願い、懸命に仕事に打ち込んだことによるものであると具体的に語られており非常に説得力があります。

どんな才能も天からの授かり物、リーダーとしてのあり方

また、どんな人間の、どんな才能も天からの授かり物、借り物であり、才能や手柄を私有、独占することなく、それを人様や社会のために公に使うことが謙虚という美徳の本質であり、また、人の上に立つ者には才覚よりも人格が問われ、人並みはずれた才覚の持ち主であればあるほど、その才におぼれず誤った方向へ使われないようコントロールする徳や人格が必要であるとされ、リーダーとしてのあり方にも触れられています。
企業のトップの方や管理職の方にもぜひ読んでもらいたいです。

生きている意味、人生の目的

人間が生きている意味、人生の目的、それは心を高めること、魂を磨くことにあり、人格を練り、魂を磨くには、日々懸命に働くことが大事であり、「感謝をする心」「人を思いやる心」「謙虚な心」など、現代の日本人が忘れてしまった道徳の重要性についても書かれており、古来から伝えられている因果応報の解説として、善き思い、行いを重ねていけば、善き人生を生きることが可能。

因果応報は、本当か?

ただ、原因がすぐさま結果に結びつくことは、ほとんどなく、因果関係が明瞭なかたちで現れることも少ない。因果応報の法則というものが見えづらく、それゆえに容易に信じることができないのは、物事を短いスパンでしかとらえていないからであり、二十年、三十年といった長い単位で見れば、きちんと因果の帳尻は合っている。

稲盛さんが四十年の間、さまざまな人物のさまざまな盛衰をみてこられて、やはり三十年、四十年というスパンで見てみると、ほとんどの人が日ごろの行いや生き方にふさわしい報果を、それぞれの人生から得ているそうで、原因と結果の法則についての信頼度が増しました。

心を高めようとする思い、その行いの過程が大切

稲盛さんが語られる人生哲学は、著者自身がそれを実践されてきたことで重みと説得力があり、未熟とされる部分も隠さず話される謙虚な姿勢からは、親近間がわき完全に達成できなくても、心を高めようとする思いとその行いの過程が大切であると感じました。
経営者としてビジネスの第一線で活躍されてきた方が「因果応報」「魂」など、語って下さったことに感謝するとともに、やはりそれだけ現代では、生き方の指針として必要にせまられている時代なのだと思います。

本書では、仏教の思想が多く取り上げられていますが、スピリチュアルとの共通点も多く、そのような思想を仕事や日々の生き方にどう反映していくかについて改めて考え、実践する上で役立てられると思います。

ベストセラーの理由

この本が、なぜ50万部以上のベストセラーになっているか、それは本書の内容がとてもわかりやすく、万人に受け入れられる道徳的思想を中心にしているからではないでしょうか。

本書の魅力をまだ十分に伝えていない部分も多々ありますので、未読の方は、ぜひ一読されることをオススメします。
スピリチュアルについて十分な知識をお持ちの方も、実際に実践されてきた方の体験談を聞くと参考になり、うれしさとともに安心感が得られ、生きる活力にもなりうるでしょう。


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